20代の恋愛ストーリーを何度もループする認知症女性
高槻リトリートのりとゆみです。
私のであった方々との忘れられないひと時をここに書いておきたいと思うのです。
最近入院してきた認知症の90代の女性。
よくしゃべる方だけど、お話が支離滅裂・・・と思っていたんです。
「あそこの山を見て思い出すのよ」と窓を指さす先に山はない
「船で会う人がいたけどすれちがった。どこいったんやろう?」とデイルームでしきりに聞く
これだけ聞くと、やっぱり変よね、認知来てるよね・・という話になってしまうのですが・・・・
じっとそばでお話しを聞くことにしました。
お話は、合いの手を入れながら聞きます。
「ああ、そうなん」
「へぇ~それからどうしたの」
「あら~、それは大変やったね」等々
そうすると、最初は支離滅裂に感じていた話が、
ちゃんとして1本のストーリーになっていくのです。
要約すると
島で生まれ育った彼女は、聡明で「かしこいな」といわれて、
島の小学校の教員に採用されたのです。
そんなとき男性と知り合い、
男性が彼女を好きになり、島まで来てくれたのです。
その気持ちを嬉しく思い、
その人のところにお嫁に行こうと決めたのですが・・・
その男の人は島の人ではなく、よその土地の人
しかも彼女より1つ年下
彼女がお嫁に行くということは、小学校の教員がいなくなるということ、
反対に男性が婿入りすれば、島では食べていく仕事がない
今であれば、どの条件もたいしたことではないと思われるのですが、
当時、よそ者や年下の男性と結婚するのは外聞が悪いとされていたようでした。
親戚や近所の人達が認めないというか、
ありえないとされる時代。
そうそう、自由恋愛そのものが「親のいうことを聞かない不埒な娘」と言われたようです。
今とは隔世の感がありますが、
彼女はその当時、それらを思って結婚を断念したのでした。
せっかく島まで来てくれた男性に「申し訳ないことをした」と、
その言葉を何度も繰り返します。
そこまで話すとまた、お話は最初に戻って、
お嫁に行こうと思ったけど、私はやめた、申し訳ないことをした・・・と
ループしていきます。
多分20歳頃のことだったでしょう。
70年以上もたった今でも、そのような懺悔が何度も語られるのです。
多くのことを記憶から忘れてしまっても、
その事実だけは深く刻まれている。
認知症になったからといってすべを忘れてしまうのではないのです。
支離滅裂に見えて、よく聞くとちゃんとしたストーリーを持っていることも多くあります。
ただ、彼女の思い出している世界をすぐに私たちがイメージできないだけ。
何度も語られる後悔と男性に対する申し訳なさ
この思いをまだまだ胸にもって生きていくんだろうと思うのです。
その記憶を消すことは私たちにはできないから。
認知症が重症になり、記憶がちぎれちぎれになるまで、残っていくでしょう。
もしかすると事実を忘れて、後悔や申し訳なさの念だけのこることもあるのではないかと思うのです。
私は見守っていくしかできませんが、
背中をずっと摩っていました。
彼女の胸の奥に重りがあることを知っている人として存在し続けることができるといいのになぁと思たのでした。
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